素粒子物理学博士のメモ

式変形や誤植等を解説

Errata, "Superstring theory" (Green, Schwarz, Witten)

Superstring Theory 2 Volume Hardback Set: 25th Anniversary Edition

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p.344, below (13.3.31), "analogous to (13.1.39)" -> "analogous to (13.1.34)"

p.315 rhs of (13.1.12),  (1+28+35v +1 +28+35c)B+..  +1 is missed

p.323 rhs of (13.1.38) dΛ+[A,Λ] -> dΛ+g[A,Λ]

p.478 8th line from the top, S0(10) -> SO(10)

p.480 4 lines above sec. 16.2, chapter 17 -> chapter 15

誤植「アクチュアリー数学入門」

アクチュアリー数学入門[第4版] (アクチュアリー数学シリーズ 1) [ 黒田耕嗣 ]

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最新は第4版ですが、私が持っているのは第3版のため、既に修正されている可能性があります。

演習問題A-8の解答(p.266)の終盤に

n > (2u(0.01))^2=37.94

とありますが、p.299の標準正規分布表を見ると、

u(0.01)=2.3263

なので、これを代入すると

n > (2u(0.01))^2=21.65

となります。nは整数なので、答えは

n≥22

です。

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フェルマーの原理の解釈について

フェルマーの原理とは、「2点を通る光は、可能な経路のうち最短時間でいけるような経路を伝搬する。」

http://www.a-phys.eng.osaka-cu.ac.jp/kato/genko/March/March.html

というものです。この原理を用いると、光の「始点」と「終点」を指定した場合、光の経路が計算できます。

しかしながらこの事実について、誤った解釈が非常に頻繁に見られるので、ここで解説します。誤った解釈とは、「光は事前に最短経路がわかる」というものです。因果関係がおかしいので不思議、と言う人がよくいます。

 

実際の現象、例えばレーザーポインタを想像してください。

光を出す際に指定できるのは、「始点」と「方向」です。光は出された方向に直進し、屈折率の異なる物質に入った場合はホイヘンスの原理によって決まる方向に曲がり、その後また直進し、終点が決まります。すなわち、

『「始点」と「方向」によって、光の「終点」が決まる』

のです。

『「始点」と「終点」によって、光の「方向」が決まる』

のではありません。

フェルマーの原理は「始点」と「終点」という結果から、光の方向を求めることを可能にするものです。レーザーポインタで光に終点を指定し、光が最短経路を事前に察知して正しい方向に出て行くのではないのです。

 

もっとわかりやすく言うと、例えば

x(t)+x(t+1)=x(t+2)

という関係があったときに、フェルマーの原理は単に、

「x(t)とx(t+2)を指定すれば、x(t+1)が決まる 」

といっているだけで、

「原因がx(t)とx(t+2)、結果がx(t+1)」

という因果関係を述べているのではないのです。

 

(なお、量子的な効果が無視できない場合は、「始点」「方向」「終点」を完全に指定することはできず、1つの光子が複数の経路を通ることもあります)

 

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誤植「超重力理論入門」

超重力理論入門 [ 藤井保憲(物理学) ]

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公式の誤植訂正ページが無いようので、下記にまとめます。

 

10節

p. 80 (10.2b) 行列の右上成分で、 K^\alpha_I \rightarrow K^a_I, b^a_\alpha(x) \rightarrow b^a_\alpha(y)

 

12節

p.107 (12.22) 第2項の係数の符号が逆。+1/48 ⇨ -1/48

この誤りに伴って、下記も誤り。

p. 108 (12.28a) 右辺の係数は -3/2 ⇨ +1/2

p. 108 (12.31a) 右辺の係数は -3/2 ⇨ +1/2

p. 109 (12.31c)  -4/27 ⇨ -1/108, 5/54 ⇨ 1/27

p. 109 (12.32b) ⇨(12.32)

p. 109 (12.32)  -8/5 ⇨ -4

 

 

 

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読書メモ2: 13か国語でわかるネーミング辞典

13か国語でわかる 新・ネーミング辞典 新装版 [ 学研辞典編集部 ]

 

2019/11/27

一つの単語が13か国語に変換できる本。スペイン語ポルトガル語等、同じラテン系でも全く違う単語が結構多いことを知った。例えばWink(英、独)はguinada(スペイン)、piscar(ポルトガル)。発音の比較も興味深い。ネーミングの例が面白かったのでメモ。

  1. フランス語: とらばーゆ(労働), ミラージュ(蜃気楼)
  2. イタリア語: パルコ(公園), ドマーニ(明日)
  3. スペイン語: ムーチョ(西), セレッソ(桜)
  4. ポルトガル語: ドトール(ドクター)

読書メモ1: ウォール街の物理学者

ウォール街の物理学者 (ハヤカワ・ノンフィクション) [ ジェイムズ・オーウェン・ウェザーオール ]

 

2019/11/16 読了

数学者や物理学者がウォール街で活躍する本はいくつかあうるが、この本が最も新しかったので読んだ。ゲージ理論を導入する話は面白そう。

  1. 数学者James SimonsはJames Axとともに、ヘッジファンドルネサンステクノロジーズ」を設立、数学や物理学の博士を雇っている。年平均40%の利益。youtubeに動画あり
  2. 1900年頃 ルイ・バシェリエが金融に数学を導入、株価が正規分布になると仮定
  3. サミュエルソン、オズボーンらが、株価でなく収益率が正規分布になると仮定、ランダムウォーク理論
  4. マンデルブロが、正規分布よりももっとランダム性の高い分布を指摘
  5. ブラック・ショールズの理論等は数学的に簡単な正規分布を仮定、しかしモデルには限界があり、金融危機で大きな損失発生
  6. Didier Sornetteやプレディクション・カンパニーは、正規分布でなく、新たな方法で暴落を予測
  7. Sornette, Weinstein, Lee Smolin 等、金融にゲージ理論を導入。Arxivで論文読める

3.2.4 紫外発散と繰り込み p.42

テキスト: 弦とブレーン

(3.87): 紫外切断\Lambdaでのループ積分

(3.87)一つ目の式の左辺を計算すると、
\begin{align}
\int\frac{d^2p}{(2\pi)^2}\frac{1}{p^2 + m^2}
&=\int_0^\Lambda\frac{dp}{2\pi}\frac{p}{p^2 + m^2} \\
&=\frac{1}{4\pi}\left[\ln(p^2 + m^2)\right]_0^\Lambda \\
&=\frac{1}{4\pi}\ln\left(\frac{\Lambda^2 + m^2}{m^2}\right) \\
&\sim \frac{1}{2\pi}\ln\frac{\Lambda}{m}
\end{align}
となる。最後の式で \Lambda \gg mを用いた。
(3.87)二つ目の式の左辺を計算すると、
\begin{align}
\int\frac{d^2p}{(2\pi)^2}\frac{p^2}{p^2 + m^2}
&=\int_0^\Lambda\frac{dp}{2\pi}p\left(1-\frac{m^2}{p^2 + m^2}\right) \\
&=\frac{1}{4\pi}\left[p^2-m^2 \ln(p^2 + m^2)\right]_0^\Lambda \\
&=\frac{1}{4\pi}\left(\Lambda^2-m^2\ln\frac{\Lambda^2 + m^2}{m^2}-m^2\right) \\
&\sim \frac{\Lambda^2}{4\pi}
\end{align}
となる。